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クレジットカード現金化と自己破産の関係とは?

クレジットカード現金化すると自己破産できない?

クレジットカード現金化はお金がなくても現金を手にすることのできる便利なシステムです。
しかし何も考えずに利用するのであれば、危険な目に合うこともあります。
特に借金返済に追い込まれている人は注意が必要です。
ここではクレジットカード現金化を行った人が自己破産できなくなる理由について述べています。

自己破産とは?

自己破産とは簡単に言うのであれば、借金を返済する能力がなくなったことを示すもことです。
つまり自己破産を申請してそれが認められれば、借金を返済しなくてもよくなります。
もちろん自己破産した人にはペナルティーが科せられ、5~10年間は新規の借り入れができません。
それでも借金返済に行き詰った人にとっては、非常に助かるシステムです。
しかし自己破産が認められのは、破産法が示す条件に当てはまる場合のみです。
実のところ、破産法には「クレジットカード現金化を利用すると自己破産できない」という文面はありません。
そのためクレジットカード現金化でお金を得て、それを借金返済のために使用しても問題ないと考える人がいます。
このような考え方が落とし穴となり、自己破産が難しくなることがあるのです。
破産法252条1項2号には「破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと」という文面があります。
実のところ、この文面がクレジットカード現金化と大きく関係しています。

クレジットカード現金化が破産法違反となるのはなぜ?

お金が無くなり、借金の返済や生活費を得るためにクレジットカード現金化を利用すると、上記で述べた破産法252条1項2号にある「破産手続の開始を遅延させる目的」に該当してしまう可能性があります。
つまり借金返済がすでに不可能であることがわかっているにも関わらず、クレジットカード現金化を利用してお金を得ることは破産を遅らせる行為であると取られてしまうことがあるのです。
実際に借金返済のためにクレジットカード現金化を利用するケースは多く、これを繰り返していたゆえに借金が膨らんでしまったという人もたくさんいます。

クレジットカード現金化はクレジットカードのショッピング枠を用いて商品を購入し、それを販売して現金を得るというものです。
現在ではこうした作業を行ってくれるクレジットカード現金化業者が存在し、依頼すれば全ての作業を行ってくれるために簡単に現金を手にすることができます。
しかしこの場合は手数料を取られたり、換金率に沿った仕方で現金化がなされます。
そのためショッピング枠を利用して購入した商品の額がそのまま現金化されるわけではありません。
こうしたことを考え、自分で商品を購入してそれを高値で販売したり、オークションに出品して儲けを出そうと考える人もいます。
これは破産法252条1項2号の後半部分が述べる「信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと」という項目に該当するとみなされることがあります。
そのためどのような形をとっても、クレジットカード現金化は破産法に違反すると考えられる可能性があるのです。

クレジットカード現金化した事実はバレるのか?

クレジットカード現金化に関する法律は存在しません。
そのためこの方法で現金を得ても、法で裁かれることはないのです。
しかしほとんどのカード会社はクレジットカード現金化を禁じています。
つまりクレジットカード現金化を行うとカード会社の規約を破ったこととなり、使用の停止などのペナルティーが科せられるのです。
しかしここで疑問が生じます。
それはクレジットカード現金化を行った事実がカード会社や裁判所にバレる可能性があるのかという点です。
クレジットカードのショッピング枠を利用して商品を購入することはクレジットカードの正当な使い方です。
そしてこのシステムを利用して購入した商品をこっそりと販売して現金を得るのであれば、誰にもバレずに現金化ができると考えるかもしれません。
しかし最近ではクレジットカード現金化に関するトラブルが多く、カード会社はこの点に関して様々なチェックを行います。
例えばクレジットカード現金化しやすい商品がいくつか存在します。
もしクレジットカード利用者がシッピング枠を利用してこのような商品を頻繁に購入している場合、カード会社はクレジットカード現金化を疑います。
また現金化しやすい商品を一度にたくさん購入した場合も、カード会社のチェックが入ることがあります。
裁判所は自己破産の申請に至った経緯をきちんと調べます。
もちろん裁判所から「クレジットカード現金化を行いましたか」という質問に対して「いいえ」と答えた場合にそれが信用されることもありますが、調査の結果その返答が嘘だとバレてしまうことも当然あるのです。
またクレジットカードの使用履歴をチェックされれば裁判所自体がクレジットカード現金化の事実を疑うこともあり得るのです。

クレジットカード現金化で借金返済を考えるのは危険

クレジットカード現金化は上手に利用できればお得なシステムですが、場合によっては大変危険な状況をもたらすことになります。
今考えているように多額の借金を抱えており、それを軽減させるためにクレジットカード現金化を利用しようとする人の中には、それが原因で借金が膨らんでしまったという人もいます。
上記の項でも少し考慮しましたが、現在クレジットカード現金化を行ってくれる業者が数多く存在します。
しかしこのような業者は手数料を徴収します。
このシステムが借金返済をさらに苦しめることになります。
例えば定価が1,000円のものをクレジットカードのショッピング枠を利用して購入し、それを業者を介して現金を得たとします。
この時に手数料が100円徴収されれば、現金化できたのは900円のみです。
当然のことながら決済日には1,000円の支払いが求められるために、結局100円がマイナスとなるわけです。
クレジットカード現金化での借金返済は一時的な解決策に過ぎず、さらなる借金を招くこととなります。

残念なことですが、クレジットカード現金化業者の中には悪徳業者も存在します。
公式サイトなどでは高換金率を提示しているものの実際にはそうでなかったり、不確かな手数料の支払いを押し付けられたり、最悪の場合は商品を購入してもお金が振込まれないといったことも生じえます。
借金返済に追い込まれるとついつい高換金率を提示しているクレジットカード現金化業者に目が行きがちですが、優良業者として知られていないところで現金化を行う場合は危険が潜んでいる可能性があります。

またクレジットカード現金化はショッピング枠を用いて行うものであり、尚且つ法に触れていないということで、気軽に行う人もいます。
加えて消費者金融からの借金ではないために利息が生じることもなく、非常に安全であると考える人もいます。
確かに消費者金融からの借入よりも気持ちが楽なのかもしれませんが、手数料や換金率があることを忘れてはなりません。

自己破産できないからと言って、諦めるのは早い

これまで考えてきたように、借金返済が難しくなったためにクレジットカード現金化に頼ると、自己破産できなくなる可能性が高まります。
しかし破産法に引っかかってしまったからと言って、自己破産を諦めるのはまだ早すぎます。
例えば「個人再生手続き」を行えば、借金を返済できるかもしれません。
個人再生手続きとは借金などの全額返済が不可能であると考えられる場合、返済額を少なくしてくれるシステムです。
申請が通れば返済額が減額され、それを3年かけて返済することができます。
申請の際は返済計画を立て、尚且つ債権者の意見を裁判所が聞き、それが認められれば実行されます。
ちなみに返済期間が3年というのは原則であり、場合によっては変更されることもあります。

この他にも「任意整理」を考慮できます。
任意整理を希望する場合は弁護士に依頼します。
この場合弁護士は貸金業者と直接和解交渉してくれます。
自己破産の様に裁判所を介す必要はないのです。
そして合意が得られれば借金返済にかかる期間を延長してもらい、分割して支払うことが可能となります。
消費者金融の中には利息制限法で定められた利息額を上回る利息を徴収しているところがあります。
任意整理を行う場合、利息制限法内での利息率が適用されるよう、弁護士が交渉してくれます。

また破産法の中には「裁量免責」というものが存在します。
これは事情によっては裁判官の裁量で免責が許可されるという決まりです。
つまりクレジットカード現金化を行った場合でも、自己破産できることがあるのです。
裁量免責が適用されるケースのほとんどは、自己破産希望者が裁判官に対して反省の意を示した場合です。
それで自己破産を望む人は自分に有利なことばかりを述べるのではなく、借金に至った理由を正直に話す必要があります。
そうすることで裁判官はこの人がどれだけ反省しているのかを理解することができます。
逆に借金返済が難しいにも関わらず横柄な態度を取ったり、反省の言葉が聞かれない場合はこれからも同じようなことを繰り返す可能性があると判断され、自己破産が認められないことがあります。
ちなみに裁量免責を望む場合は弁護士や司法書士にサポートしてもらうのがベストです。

自己破産する可能性がある場合、クレジットカード現金化はNG

クレジットカード現金化は非常に便利なシステムです。
しかしカード会社の多くはこの行為を禁じています。
そして何より、クレジットカード現金化を行った場合は自己破産できなくなる可能性が大いに高まります。
確かに借金返済に行き詰ると様々な方面からお金を入手しようと考えるかもしれませんが、クレジットカード現金化は逆にデメリットをもたらす可能性があることを覚えておくべきです。